12月12日(火曜日) 曇り? 小学校五、六年の同級生だったK・S子ちゃんのことをぼくが好きで、友だち(?)から「おまえはS子ちゃんのこと好きなんだろうけど、向うはおまえのことなんか好きじゃないんだからな」と言われ、哀しい思いをするという夢を見ました。 S子ちゃんは五年の一学期にぼくの隣に座っていた子で、小さくておとなしいのに、図工の時間になると突然大人びた美しい絵を描いたので、ビックリ・感心したことをよく憶えています。小学校を卒業してから、彼女は違う校区の中学に行ったので、その後会ったことはありません。 目が覚めると、「おれの人生、ズーッと片想いばかりだなぁ」と少し落ち込み。(もっとも、当時ぼくは、幼稚園の頃からズーッとN・Mさんが好きだったから、S子ちゃんに片想いというのはちょっと違うのですが) 昨日書きましたように「四枚のおふだ」の編集記録データがコンピュータにセイヴされていなかったので、ポスプロ・スタジオのペトルが、DVDに記録してあった編集ラッシュの映像と、ネガから直接取り込み最後の編集で使う映像をコンピュータ上で重ね合わせて編集を確認するという作業を。これに朝九時から午後二時すぎまでかかりました。「まったく同じ編集は二度と再現出来ないだろう」と思っていたぼくですが、最新テクノロジーに救われ。 それが終わってからようやく本当の編集およびエフェクト入れが始まりました。 ぼくが見ている目の前でペトルが断りもせず絵の速度に手を加えていくので、「こいつ何様のつもりなんだ」と思いつつも、「それで改善されることがあるなら」と、とりあえずは黙ってました。ぼくとペトルの他に、編集のフラーコヴァー女史とオンドジェイがいたのですが、ぼくが「わしが立ち会わん限りはワンショットたりと言えども撮影することはまかりならん」とアニメーターたちに宣言するような監督であることを把握しているオンドジェイが場の空気を読んだのか、気を遣って「これでいいか?」と訊いてきました。ぼくはムッとはしていましたが、確かによくなってはいるので、「いいよ」と。 しかしペトルがぼくの意向とは違うことまでドンドン始めるに至りついに我慢できなくなり、「ちょいと待て。それは違う」と。すると予想どおり、ペトルも自分の考えを譲らないのですね。来た来た~っ! 最終的には監督権限で、無理矢理言うことを聞かせましたが、もし向うが頑として譲らなかったら、事態は紛糾していたところでありました。 その後、幾つかペトルの加えた改変をぼくが却下してからは、こちらも少し態度を和らげたので作業は比較的スムーズに進みましたが、そこに至るまでぼくは全身から「ムーーーーーーーーーーッ」と憤懣オーラを放射していたと思います。 湯布院映画祭の常連ゲストだった編集マンの故冨田功さんは、ある映画の銃が発射されるショットで、監督が「銃が撃たれた瞬間画面が真っ白になるよう一コマ白みを入れて欲しい」というのを、「編集のリズムが崩れるから」と言って拒否。「入れろ」「入れない」で延々と議論が続いた挙句「もし白みを入れるなら、ぼくはこの作品の編集から降ります」と言って自分の意見を押し通したそうです。 ぼくは冨田さんを人間として好きでしたし、映画屋さんとしても尊敬していましたが、自分が監督で編集マンからそんなこと言われたら、「はい、結構です。辞めてください」と言ったでしょうね。 午後七時になった段階で時間切れで作業は明日に持ち越し。アーッ、疲れた。 今日、ぼくの人生で最もバカな話を聞きましたので、ご報告。 一昨年、ぼくは日本へ一時帰国した際、お寺が舞台の「四枚のおふだ」の音として必要な木魚とチンを買いました。仏壇店のおばちゃんに、店頭展示品で日焼けしているのを安くしてもらって。お金は後でスタジオからもらったので、その二つはズーッとプロデューサーの机の上に転がってました。 ところがいつからかその木魚の姿が見えなくなっていたのです。音の作業に入ってからプロデューサーに「木魚が必要なんですけど」と何度言っても、「わかってる、わかってる」という返事ばかり。 そして今日、ついに事実がわかりました。木魚がすっかり気に入ったじいさんは、自分がこんなものを持っているというのを自慢したかったのでしょう。誰かに貸したのですが、それが誰か憶えてないんですと。ぬぁにぃ~~~~。怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒怒。そんなバカな話はこれまでの人生で聞いたことないぞ。 結局じいさんはチェコ人で日本文化の専門家を探して、木魚を貸してくれるよう頼み、それがプラハではなくチェコ第二の都市ブルノにあるので、明日それを受け取りにブルノまで行くんですと。あー、もう勘弁して欲しい。木魚はあんたのオモチャじゃねぇんやで。 しかし、ほんとに木魚を持ってくるんだろうな。なんか似て非なるものを持ってくるような予感がしてしょうがない。 〔今日の新聞から〕 これまでチェコに住む外国人のヴィザを取り扱う外国人警察はプラハでは二ヶ所に分かれていました。一ヶ所はEU圏の人間を対象、もう一箇所はそれ以外の国の人間。それがこの11月から、作業を円滑に進めスピードアップをはかるため一つに統合されました。 ところがここはチェコですから、当然状況は悪化してしまい、最近ではこの寒いのに午前零時から警察の前には列が出来ていて、十二時間待つのは当たり前。日参しても担当オフィスの前まで到達できないという人がバラバラいるんだとか。 その場にいた警官に「どうしてこんなことになってるんだ」と食ってかかった人への答えは、「ここはチェコであってアメリカじゃないんだから、何だって起こりえるんだ」という傲慢無礼なものだったんですと。 やれやれ、チェコ人ってどうしてここまでオルガナイズ能力がないのか、ほんと不思議です。チェコに憧れて、今後この国に住むことを考えている方、これからもこの国に住み続ける方、ご健闘を心から祈ります。わしはもうこんな
by yaliusat
| 2006-12-13 14:34
| アニメ
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